2019.04.26 2022.12.20

残業問題はどこに相談したらよいですか?

残業問題はどこに相談したらよいですか?

サービス残業や残業代の未払いなど、残業問題は、同僚や上司に相談しにくいものですよね。「波風を立てるよりは…」と一人で抱え込んでしまう方が数多くいらっしゃいます。しかし、自分の生活やキャリアを守るためには、残業問題をクリアにして、気持ちよく働き続けることが大切です。では、残業問題の相談はどこにすべきなのでしょうか。ここでは、残業問題を受け付けている場所を一覧としてまとめてみました。

残業問題の相談先(公的機関)

まず、公的な残業問題の主な相談先候補としては、下記があげられます。

  • ・労働基準監督署
  • ・労働局雇用均等室
  • ・全労連労働問題ホットライン
  • ・総合労働相談コーナー

それぞれ具体的に見ていきましょう。

労働基準監督署

労働基準監督署は、労働関係の法令を守っているか否かをチェックする公的な機関です。
労働関係の公的な相談窓口としては最もメジャーで、一般的にもよく知られた存在といえます。2019年現在、全国で321署(+4支署)が配置されており、各都道府県の労働局によって管轄されています。相談方法は、電話及び面談が主流で、料金は無料です。

労働基準監督署の特徴は、なんといっても「立入り調査」の権限でしょう。実際に職場に立入り、法令に違反している事実の確認や指導を行う権限を持っています。この権限は非常に強力ですが、「パワハラやセクハラ」「人事関係の揉め事(配置転換や転勤など)」「一方的な懲戒処分」などには対応できないことが多いです。

また、確固たる証拠が無ければ動いてくれず、個人の代わりに会社側へ交渉するといった業務も行いません。純粋に「組織的な残業代・賃金未払い、労災関係」に特化した公的機関ともいえます。

●労働基準監督署が行う業務

  • ・事業場に対する臨検監督指導(立入り調査)
  • ・労災の原因調査と再発防止対策の指導
  • ・重大な法律違反に対する送検処分
  • ・使用者に対する説明会の開催
  • ・申告・相談への対応

労働局雇用環境均等室

各都道府県にある労働局内に設置されており、事業主と労働者間のトラブルに対し、解決のサポートを行う公的機関です。労働基準監督署の上部機関である「労働局」の一部ですが、労働基準監督署とは受け付けている相談内容が異なります。

●労働局雇用環境均等室が受け付ける相談内容

  • ・男女雇用機会均等法に基づく相談
  • ・育児・介護休業法に基づく相談/li>
  • ・パートタイム労働法に基づく相談/li>
  • ・必要に応じて「行政指導」や「調停会議」を行う権限を持つ/li>

一般的な残業問題の相談ではなく「性別「妊娠」「育児」が絡んだ残業問題の相談がメインになると考えてください。「性や立場による労働格差を是正するための機関」といえるため、残業代の相談だけを受け付けることは少ないでしょう。

参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/woman/index.html

全労連労働問題ホットライン

全労連(全国労働組合連合会)が設置している、労働問題関係の電話相談窓口です。電話やメールで相談を受け付けており、都道府県別に常設の労働相談センターがあります。残業代の未払いや有給休暇の取得に関する問題、解雇、上司からのいじめなど、相談内容は多岐にわたります。残業問題の相談先としては手っ取り早いかもしれませんが、あくまでも「相談を受け付け、アドバイスしてくれる」ことに特化した機関です。アドバイスに基づく交渉や行動は、自分で行う必要があります。

参考:全労連
http://www.zenroren.gr.jp/jp/soudan

総合労働相談コーナー

労働基準監督署や労働局内に設置されている「相談専門の窓口」です。残業問題に関する相談も受け付けています。予約不要かつ無料で誰でも利用でき、受け付けている相談内容も広いことから、使い勝手は良いでしょう。ただし、こちらも「相談を受け付け、助言すること」がメインです。実際に交渉・行動するのは相談者自身ということになります。

参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

残業問題の相談先(専門家)

残業問題は、公的機関への相談だけでは、なかなか解決に結びつきません。なぜなら、余程悪質なケースでない限り「助言」「指導」がメインになるからです。繰り返すようですが「交渉」や「行動」は、相談者自身が担う必要があるわけです。

したがって、解決を目指すためには、個人として経営幹部や人事担当者と対等に交渉してくれる専門家の力が必要になるでしょう。依頼料や相談料が必要ですが、相談者の代理となって行動を起こしてくれるため効果は絶大です。相談者が抱える心細さや不安、納得がいかないことへの怒りなどを受け止め、目に見える成果に結びつけられる存在となるでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は、社会保険や雇用保険、年金、労働問題に関して専門知識を有する国家資格です。残業問題を含むさまざまな労働問題に対し、助言・解決策の提示・コンサルティングを行うことで知られています。相談者の代理人として、会社と交渉することも可能なため、日本国内では「労働問題の専門家」といえば、社会保険労務士を指すことが多いでしょう。ただし、「裁判において代理人になることができない」という点から、裁判が必要なほどの深刻な残業問題では、弁護士への依頼が必須になることもあります。

弁護士

会社との交渉はもちろんのこと、裁判まで対応できる(訴訟の代理人になれる)唯一の専門家です。「どうしても残業代を請求したいが、会社と争う勇気が無い…」という方は、まず弁護士へ相談すべきでしょう。最終手段としての訴訟を視野に入れながら、現実的な解決へのアドバイスが受けられます。もちろん、アドバイスだけではなく、証拠集めや請求などの「実務」まで委ねられる存在です。

残業問題を本気で解決したいなら

公的機関の窓口は、担当者が親身になって話を聞いてくれるため、それでストレスが和らぐのであれば、ぜひ利用すべきです。ただし、実際の交渉や行動は相談者自身が行う必要があります。

相談やアドバイスの先にある「解決」を本気で臨むのであれば、会社側と交渉し、証拠に基づいて請求・訴訟を起こせる弁護士への相談を検討してみてください。

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